空気清浄機のカタログに必ず載っている「適用床面積 〜畳」。この数字の決め方が、2026年3月に変わりました。
同じ空気清浄機でも、新しい決め方で表示される畳数は、これまでの約3分の2になります。しかし、性能が落ちたわけではありません。物差しそのものが変わったのです。
ところが店頭や通販サイトには、新しい物差しで測った製品と、これまでの物差しで測った製品が並んでいます。そのまま畳数を比べると、選び方を間違えてしまいます。

この記事では、何が変わったのかを、公開されている情報と計算でわかりやすく解説します。
結論:覚えておくことは3つだけ
- 適用床面積の決め方が変わり、同じ性能でも表示される畳数は約3分の2になった
- 店頭には新旧の表示が混在している。新旧の畳数を横に並べて比べない
- これからは「CADR(清浄空気供給量)」で比べる。CADR ÷ 12 で新しい適用床面積(m²)の目安が出る

店頭で「30畳用」と「20畳用」が並んでいても、実はほとんど同じ性能ということがあるんです。
以下、それぞれを順番に説明します。
JEM1467とは? カタログの数字の出どころ
JEM1467(ジェム いちよんろくなな)は、一般社団法人日本電機工業会(JEMA)が定めている、家庭用空気清浄機の規格です。1995年に制定されました。
カタログに載っている適用床面積や集じん性能、脱臭性能などの数字は、多くがこの規格に定められた試験方法にもとづいています。メーカーが違っても同じ試験方法で測っているからこそ、数字を横に並べて比べられるわけです。
このJEM1467が、2026年3月19日に改正されました。きっかけは、2024年1月に空気清浄機の性能試験方法を定めた国際規格(IEC 63086-2-1)が発行されたことです。日本の規格を国際規格にそろえるための改正でした。
何が変わったのか:「煙を片付ける広さ」から「きれいに保てる広さ」へ
いちばん大きな変更は、適用床面積の「決め方」です。
旧規格:30分で、どこまで下げられるか
これまでの適用床面積は、換気が1時間に1回ある部屋で、1立方メートルあたり1.25mgの粉じんを、30分でビル管理の基準である0.15mgまで下げられる部屋の広さ(天井の高さ2.4m)でした。汚れを約88%減らせる広さ、ということです。
想定していたのは、たばこの煙のように一度にまとめて出た汚れを、素早く片付ける場面です。
新規格:汚れ続ける部屋を、どこまで下げて保てるか
新しい適用床面積は、換気が1時間に1回あり、さらに汚れが床や壁に少しずつ落ちていく条件で、空気清浄機を動かし続けたときに、動かしていないときより汚れの濃度を80%下げた状態を保てる部屋の広さです。
想定しているのは、外から入ってくるPM2.5や、室内で出続けるハウスダスト、細菌やウイルスなど、絶え間なく発生する汚れです。
JEMAは変更の理由を、室内でたばこを吸う家庭が大きく減り、継続的に発生する汚れの浄化が重要になったためと説明しています。この背景は世界共通で、国際的に評価方法と適用床面積の算出方法がそろえられました。

【試算】同じ空気清浄機でも、畳数は約3分の2に
では、決め方が変わると数字はどう変わるのでしょうか。
JEMAは、新しい規格にもとづいて性能を認証した製品の一覧を公開しています。そこには各製品の「CADR」と「適用床面積(m²)」が並んでいます。たとえば、次のとおりです。
| 製品 | CADR(m³/h) | 適用床面積(m²) | CADR ÷ 適用床面積 |
|---|---|---|---|
| シャープ KI-WS50 | 280 | 23 | 12.2 |
| ダイキン MCZ706A-T | 420 | 34 | 12.4 |
| シャープ KI-WX100 | 560 | 46 | 12.2 |
一覧にある16機種すべてで、CADRを適用床面積で割ると、ほぼ12になります。

つまり、新しい規格では**「適用床面積(m²)≒ CADR ÷ 12」**という関係が成り立っています。これは新しい定義の条件を計算すると、そのまま出てくる数字です(計算の詳細は下で説明します)。
同じように、これまでの定義で計算すると「適用床面積(m²)≒ CADR ÷ 約7.8」になります。割る数が12と7.8なので、同じ性能の空気清浄機でも、新しい規格の畳数はこれまでの約65%、およそ3分の2になるわけです。
| CADR | 旧規格での畳数(目安) | 新規格での畳数 |
|---|---|---|
| 280 m³/h | 約22畳 | 約14畳 |
| 420 m³/h | 約33畳 | 約22畳 |
| 560 m³/h | 約44畳 | 約29畳 |

これまで「30畳用」として売られていたクラスの製品が、新しい規格では「20畳用」前後の表示になる、ということです。性能が落ちたのではなく、より厳しい、実際の暮らしに近い条件で測るようになったと考えてください。
なお、旧規格の性能値と新規格のCADRは、試験の方法が完全に同じではありません。この換算は、定義から計算した目安として使ってください。
計算の詳細(興味のある方へ)
新規格の場合 空気清浄機を動かしていないとき、部屋の汚れは換気(1時間に1回)と床や壁への沈着(1時間に0.2回相当)で減っていきます。合わせて1時間に1.2回分です。濃度を80%下げる、つまり5分の1にするには、空気清浄機がその4倍、1時間に4.8回分の空気をきれいにする必要があります。
部屋の容積をV(m³)とすると、CADR = 4.8 × V。天井の高さを2.5mとすると、適用床面積 = CADR ÷(4.8 × 2.5)= CADR ÷ 12 になります。認証製品の公表値と一致します。
旧規格の場合 30分で濃度を12%まで下げる(88%低減)ためには、換気と空気清浄機を合わせて1時間に約4.24回分の浄化が必要です。換気の1回分を引くと、空気清浄機の分は1時間に約3.24回。天井の高さ2.4mで計算すると、適用床面積 = CADR ÷(3.24 × 2.4)= CADR ÷ 約7.8 です。
新旧が混在する今、比べるときの4ステップ
規格が変わっても、店頭の製品が一斉に入れ替わるわけではありません。しばらくは、新しい規格の表示と、これまでの規格の表示が並んで売られます。比べるときは、次の手順で確認してください。

1. 表示の単位と規格を見る 適用床面積が「m²」で書かれているか、「畳」で書かれているか。カタログや仕様表の注記に、どの規格で測った値かが書かれていないか確認します。
2. CADRを探す 仕様表に「CADR(集じん)○○m³/h」という表示があれば、それが比較の基準になります。
3. CADR ÷ 12 で換算する CADRを12で割ると、新しい規格の適用床面積(m²)の目安になります。畳に直すときは、さらに1.62で割ります。
4. 部屋の広さと比べる 新しい規格の適用床面積が、使う部屋の広さ以上あるかを確認します。花粉やペットが気になる場合は、余裕を持たせてください。
CADRが書かれていない、これまでの規格の製品どうしであれば、これまでどおり畳数のまま比べてかまいません。大切なのは、新旧の数字を混ぜて比べないことです。表示がどちらの規格か分からない場合は、メーカーに問い合わせるのが確実です。

新しい規格の「20畳」と、これまでの規格の「30畳」。数字だけ見ると、30畳のほうが強そうに見えてしまいますよね。

迷ったらCADRを見る。これだけで、選び間違いはかなり防げます。
CADRとは:これから見るべき数字
CADRは「Clean Air Delivery Rate」の略で、日本語では「清浄空気供給量」と呼ばれます。空気清浄機の浄化性能を、「1時間に、汚れを取り除いたきれいな空気を何m³送り出せるか」に置き換えた数字です。単位はm³/hで、大きいほど、同じ時間でより多くの空気をきれいにできます。

たとえばCADRが420m³/hなら、8畳・天井2.4mの部屋の空気(約31m³)の、約13杯分にあたります。
適用床面積は「どの広さまで対応できるか」を示す数字ですが、その広さは計算の前提によって変わります。今回の改正で数字が変わったのも、そのためです。CADRは前提条件に左右されにくく、海外でも使われている共通の物差しなので、メーカーをまたいで比べるときに便利です。
ただし、ここでのCADRは粉じん(集じん)についての数字です。においやウイルスへの効果は、別の試験で評価されています。
JEMA認証ラベル:示すこと・示さないこと
今回の改正にあわせて、JEMAは空気清浄機の性能認証制度を始めました。国際規格に準拠した方法で、第三者の試験機関が集じん性能を試験し、その結果をもとにJEMAが認証します。認証された製品には、JEMAの認証ラベルを使うことが認められます。
主な評価の指標は次の3つです。
- CADR(清浄空気供給量)
- 集じん効率(70%以上であること)
- 表示値とのずれ(実際のCADRが表示値のマイナス10%以内であること)
制度には、LG、シャープ、象印、ダイキン、ダイソン、パナソニック、三菱電機などのメーカーが参画しています(2026年9月時点のJEMA公開ページより)。どの製品が認証を受けているかは、JEMAが公開している認証製品一覧で確認できます。

一方で、ラベルには限界もあります。認証の対象は集じん性能だけで、脱臭性能やウイルスへの効果は含まれません。また、JEMA自身が、ラベルの有無で製品の優劣を決めるものではないと説明しています。ラベルがない製品が劣っているわけではない点は、覚えておいてください。
※JEMA認証ラベルのデザインは、JEMAの公式ページで確認できます。
あなたの部屋に必要なCADRを計算する
部屋の広さや気になる汚れを入れると、必要なCADRと、新しい規格・これまでの規格それぞれの畳数の目安を計算できます。換気の過不足や、冬の加湿量もあわせて確認できます。
部屋の広さと住まいの条件から、必要な空気清浄機の能力(CADR)・換気の過不足・冬の加湿量を計算します。2026年改正の新規格と旧規格、どちらの表示にも対応。所要時間は約1分。
- 1 部屋
- 2 気になること
- 3 換気と気候
空気清浄機を置く予定の部屋の広さを入力してください。
人数が多いほど二酸化炭素がたまりやすくなります。
広さは1〜100の範囲で入力してください。
あてはまるものをすべて選んでください(複数可)。
空気の目標値を厳しめに設定するかどうかの判断に使います。
壁や天井にある、常に回っている換気口のことです。2003年以降に建てられた住宅にはほぼ付いています。
必要な加湿量は、外の空気の冷たさで大きく変わります。
診断結果をもとに、条件に合う機種の絞り込み方と買う前の確認点を1通にまとめて送ります。
まとめ
- 2026年3月の改正で、適用床面積は「30分で汚れを片付けられる広さ」から「汚れ続ける部屋をきれいに保てる広さ」に変わった
- 同じ性能でも、新しい規格の畳数はこれまでの約3分の2になる
- 新旧の表示が混在する今は、CADRで比べるのが確実。CADR ÷ 12 で新しい適用床面積(m²)の目安が出る
- JEMA認証ラベルは集じん性能の信頼性を示すもの。ラベルがない製品が劣っているわけではない
空気清浄機を選ぶときは、畳数の数字だけを見ずに、どの物差しで測った数字なのかを確かめてみてください。
出典
- 一般社団法人日本電機工業会「家庭用空気清浄機(JEM1467)」規格情報ページhttps://www.jema-net.or.jp/engineering/JEM_JEM-TR/JEM1467.html
- 一般社団法人日本電機工業会「空気清浄機 性能認証制度」https://www.jema-net.or.jp/living/airpurifiercertsystem/index.html
- 一般社団法人日本電機工業会「空気清浄機 性能認証制度 よくある質問(QA)」https://www.jema-net.or.jp/living/airpurifiercertsystem/faq.html
- 一般社団法人日本電機工業会「空気清浄機 性能認証制度 認証済製品一覧」(2026年9月18日更新)https://www.jema-net.or.jp/living/airpurifiercertsystem/list.html
- パナソニック よくあるご質問「空気清浄機の適用床面積(適用畳数)について」https://jpn.faq.panasonic.com/app/answers/detail/a_id/15031/~/空気清浄機の適用床面積%28適用畳数%29について
※試算の数値は、上記の公開情報をもとに当サイトが計算したものです。
