空気清浄機のカタログで見かけるようになった「CADR」。2026年の規格改正をきっかけに、日本でも表示されることが増えてきた数字です。
CADRは、空気清浄機が1時間に送り出す「きれいな空気」の量を表します。メーカーや国をまたいで性能を比べられる、共通の物差しです。
この記事では、CADRとは何か、風量とどう違うのか、どうやって測っているのか、そしてこの数字でわからないことは何かを解説します。
結論:CADRは「きれいな空気の量」
- CADR = 風量 × 汚れを取り除く効率:同じ風量でも、効率が違えばCADRは変わる
- 日本の新しい規格では、適用床面積(m²)= CADR ÷ 12
- CADRでわかるのは粒子を取り除く速さだけ:においやガス、静音時の性能はわからない

CADRは「Clean Air Delivery Rate」の略。日本語では清浄空気供給量です。名前のとおり、きれいな空気をどれだけ供給できるかを表します。
風量とCADRは、別のもの
カタログには「風量 5.0m³/分」といった表示もあります。これは、空気清浄機が送り出す空気の量です。汚れを取り除けたかどうかは関係ありません。

一方CADRは、取り除いた後の「きれいな空気」の量です。関係は次のとおりです。
CADR = 風量 × 汚れを取り除く効率
たとえば風量が同じ400m³/hでも、効率が99%の機種ならCADRは396m³/h、効率が70%の機種なら280m³/hになります。風量だけでは性能は比べられないということです。
厚生労働省の資料でも、空気清浄機の性能は「捕集効率×風量」として、換気量に相当する量で評価できると説明されています。
CADRは、どうやって測るのか

- 試験室に粒子を入れる:決められた大きさの粒子を、試験室の空気に均一に広げる
- 濃度の下がり方を測る:空気清浄機を運転し、粒子の濃度が減っていく速さを測定する
- 自然に減る分を差し引く:運転しなくても、粒子は壁に付いたり床に沈んだりして減る。その分を引く
- CADRに換算する:清浄機が取り除いた分を、「きれいな空気を送り出した量」に置き換える
3つ目の「自然に減る分を差し引く」がポイントです。これによって、空気清浄機自身の実力だけが数字になります。
なお、測定はいちばん強い運転のときに行われます。静音運転では、実際の能力はこれより下がります。
日本の新しい規格と、アメリカの基準はほぼ同じ
2026年3月に改正された日本の規格(JEM1467:2026)では、適用床面積とCADRの関係が次のようになっています。
適用床面積(m²)≒ CADR ÷ 12
日本電機工業会が公開している認証製品の一覧でも、各製品がこの関係になっています。1m²あたり12m³/hのきれいな空気、天井の高さ2.5mなら1時間に4.8回分という計算です。

一方、アメリカでは家電製品協会(AHAM)が「2/3ルール」という目安を示しています。部屋の面積(平方フィート)の3分の2以上のCADR(CFM)がある機種を選ぶ、というものです。たとえば120平方フィート(約11m²)の部屋なら、CADR 80以上。
単位を換算すると、これは1m²あたり約12.2m³/hにあたります。天井の高さを8フィート(約2.4m)とすれば、1時間に約5回分です。
つまり、国も規格も違うのに、たどり着いた基準はほぼ同じでした。「1時間に約4.8回、部屋の空気をきれいにする能力」。CADRが世界共通の物差しとして使える理由が、ここにあります。

日本の新しい畳数表示は、実は世界標準に近づいたということなんです。
CADRでわかること・わからないこと

わかること
- 空気中の粒子を取り除く速さ
- メーカーをまたいだ比較
- 部屋の広さに合うかどうか
- 新旧の規格をまたいだ比較
わからないこと
- においやガスを取り除く力:日本電機工業会の性能認証制度も、対象は集じん性能です
- 静音運転のときの性能:測定は最大の運転で行われます
- 部屋の気流や置き場所の影響:試験室は空気がよく混ざった状態です
- フィルターの寿命や交換費用
CADRは万能の数字ではありません。「粒子をどれだけ速く取り除けるか」だけを表しています。脱臭性能や静音性、維持費は、別の項目で確かめてください。
自分の部屋に必要なCADRを求める

- 部屋の容積を出す:畳数 × 1.62 × 天井の高さ(m) 例:8畳 → 約31m³
- 目標の回数をかける:ふつうは3回/h、花粉やペット、アレルギーが気になるなら5回/h 例:31 × 5 = 155m³/h
- 余裕を1.3倍見込む:家具による気流の妨げや、フィルターの目詰まりの分 例:155 × 1.3 ≒ 200m³/h
求めたCADRを12で割れば、新しい規格の適用床面積(m²)の目安になります。
部屋の広さと条件を入れれば、この計算を自動で行えます。
部屋の広さと住まいの条件から、必要な空気清浄機の能力(CADR)・換気の過不足・冬の加湿量を計算します。2026年改正の新規格と旧規格、どちらの表示にも対応。所要時間は約1分。
- 1 部屋
- 2 気になること
- 3 換気と気候
空気清浄機を置く予定の部屋の広さを入力してください。
人数が多いほど二酸化炭素がたまりやすくなります。
広さは1〜100の範囲で入力してください。
あてはまるものをすべて選んでください(複数可)。
空気の目標値を厳しめに設定するかどうかの判断に使います。
壁や天井にある、常に回っている換気口のことです。2003年以降に建てられた住宅にはほぼ付いています。
必要な加湿量は、外の空気の冷たさで大きく変わります。
診断結果をもとに、条件に合う機種の絞り込み方と買う前の確認点を1通にまとめて送ります。
よくある質問
CADRとは何ですか?
Clean Air Delivery Rate(清浄空気供給量)の略で、空気清浄機が1時間に送り出す「きれいな空気」の量を表します。単位はm³/hで、数字が大きいほど、同じ時間でより多くの空気をきれいにできます。
CADRと風量の違いは何ですか?
風量は、空気清浄機が送り出す空気の量です。CADRは、そこから汚れを取り除く効率をかけた「きれいな空気」の量です。同じ風量でも、効率が違えばCADRは変わります。
CADRからどうやって部屋の広さを求めますか?
日本の新しい規格では、適用床面積(m²)= CADR ÷ 12が目安です。畳数にするには、さらに1.62で割ります。
CADRが高ければ、においも取れますか?
いいえ。CADRは粒子を取り除く速さの数字です。においやガスを取り除く力は表していません。日本電機工業会の性能認証制度も、対象は集じん性能です。
まとめ
- CADRは、空気清浄機が1時間に送り出す「きれいな空気」の量
- CADR = 風量 × 汚れを取り除く効率。風量だけでは性能は比べられない
- 測定では、自然に減る分を差し引くので、清浄機自身の実力が数字になる
- 日本の新規格(CADR÷12)と、アメリカAHAMの2/3ルールは、換算するとほぼ同じ基準
- CADRでわかるのは粒子を取り除く速さだけ。脱臭や静音性は別の項目で確認する

新規格の結果が発表されている機種を3つほど挙げてみました。
出典
- 一般社団法人日本電機工業会「空気清浄機 性能認証制度」 https://www.jema-net.or.jp/living/airpurifiercertsystem/index.html
- 一般社団法人日本電機工業会「空気清浄機 性能認証制度 認証済製品一覧」 https://www.jema-net.or.jp/living/airpurifiercertsystem/list.html
- 厚生労働省「冬場における『換気の悪い密閉空間』を改善するための換気について」(2020年11月) https://www.mhlw.go.jp/content/000698866.pdf
- AHAM(米国家電製品協会)「Tips for Choosing the Ideal Portable Room Air Cleaner」(2/3ルール) https://blog.aham.org/tips-for-choosing-the-ideal-portable-room-air-cleaner/
- AHAM Verifide「AHAM’s Air Filtration Standards」 https://ahamverifide.org/ahams-air-filtration-standards/
※単位の換算と、必要なCADRの計算は当サイトによるものです。試験方法の説明は、公開されている情報にもとづく概要です。




