空気清浄機を選ぶとき、多くの人がまず見るのは「〜畳用」という数字です。ところが2026年3月の規格改正で、この畳数の決め方が変わりました。同じ性能でも、新しい規格では表示される畳数がこれまでの約3分の2になります。
店頭や通販には新旧の表示が混在しているため、今は畳数だけで選ぶと間違えやすい時期です。
この記事では、新しい規格を踏まえた空気清浄機の選び方を、5つのステップで解説します。
結論:空気清浄機は5つのステップで選ぶ

- 能力:CADR(清浄空気供給量)で、部屋に合う能力を決める
- フィルター:HEPAフィルターかどうかを確かめる
- 付加機能:脱臭や加湿が本当に必要か考える
- 置き場所:吸込口と吹出口の位置、設置スペースを確認する
- 維持費:フィルター交換の目安と電気代を見る
いちばん大事なのは1番です。能力が足りなければ、どんな機能も生かせません。
ステップ1:能力は「CADR」で決める
畳数の意味が変わった
空気清浄機の性能を定めている日本電機工業会の規格(JEM1467)が2026年3月に改正され、適用床面積の決め方が変わりました。これまでは「30分で汚れを片付けられる広さ」でしたが、新しい規格では「汚れが出続ける部屋を、きれいな状態に保てる広さ」になっています。
その結果、同じ性能の空気清浄機でも、新しい規格で表示される畳数はこれまでの約3分の2になります。性能が落ちたのではなく、物差しが変わったのです。
これからはCADRで比べる
CADR(Clean Air Delivery Rate、清浄空気供給量)は、1時間に汚れを取り除いたきれいな空気を何m³送り出せるかを示す数字です。単位はm³/hで、大きいほど能力が高くなります。前提条件に左右されにくいので、新旧の表示が混在していても、メーカーをまたいで比べられます。
日本電機工業会が公開している認証製品の一覧を見ると、新しい規格では適用床面積(m²)≒ CADR ÷ 12 という関係になっています。

| CADR(m³/h) | 新規格の適用床面積 | 新規格の畳数 | 旧規格なら(目安) |
|---|---|---|---|
| 150 | 13m² | 約7畳 | 約12畳 |
| 200 | 17m² | 約10畳 | 約16畳 |
| 250 | 21m² | 約12畳 | 約20畳 |
| 300 | 25m² | 約15畳 | 約24畳 |
| 350 | 29m² | 約18畳 | 約28畳 |
| 400 | 33m² | 約20畳 | 約32畳 |
| 500 | 42m² | 約25畳 | 約40畳 |
| 600 | 50m² | 約30畳 | 約47畳 |
使う部屋の広さ以上の「新規格の畳数」を目安にし、花粉やペット、アレルギーが気になる場合は一段上を選んでください。仕様表にCADRが書かれていない、これまでの規格の製品どうしなら、旧規格の畳数のまま比べてかまいません。
表示されている能力は「強運転」のときの値
カタログの清浄時間や能力は、一般に、いちばん強い運転モードで測った値です(注記に「強運転時」などと書かれています)。寝室などで普段は静音運転にしたい場合、実際の能力はカタログの数字より下がります。静かに使いたい部屋ほど、能力に余裕のある機種を選ぶのがコツです。
あなたの部屋に必要なCADRを計算する
部屋の広さや気になる汚れを入れると、必要なCADRと、新旧それぞれの畳数の目安を計算できます。
部屋の広さと住まいの条件から、必要な空気清浄機の能力(CADR)・換気の過不足・冬の加湿量を計算します。2026年改正の新規格と旧規格、どちらの表示にも対応。所要時間は約1分。
- 1 部屋
- 2 気になること
- 3 換気と気候
空気清浄機を置く予定の部屋の広さを入力してください。
人数が多いほど二酸化炭素がたまりやすくなります。
広さは1〜100の範囲で入力してください。
あてはまるものをすべて選んでください(複数可)。
空気の目標値を厳しめに設定するかどうかの判断に使います。
壁や天井にある、常に回っている換気口のことです。2003年以降に建てられた住宅にはほぼ付いています。
必要な加湿量は、外の空気の冷たさで大きく変わります。
診断結果をもとに、条件に合う機種の絞り込み方と買う前の確認点を1通にまとめて送ります。
ステップ2:フィルターは「HEPA」かを確かめる
家庭用の空気清浄機の多くは、本体のファンで空気を吸い込み、フィルターで汚れを取る方式です。
ほこりや花粉、PM2.5などの粒子を取るフィルターでは、HEPAフィルターかどうかが一つの目安になります。HEPAフィルターは日本産業規格(JIS Z 8122)で定められていて、定格の風量で、0.3µmの粒子を99.97%以上捕集できるフィルターのことです。
ただし、カタログの「0.3µmの粒子を99.97%」は、フィルター単体の性能です。部屋全体の汚れを99.97%取り除けるという意味ではありません。部屋全体の能力は、ステップ1のCADRで見てください。

「99.97%」は部屋の話ではなく、フィルターを1回通ったときの話。部屋全体の実力はCADRで見るのがポイントです。
ステップ3:脱臭・加湿は本当に必要か考える
カタログの注記に書かれている3つの前提
付加機能を選ぶ前に、カタログの小さな注記を読んでおくと判断を誤りません。

- 「強運転時」:清浄時間などは、いちばん強い運転で測った値
- 「フィルターの除去性能」:99.97%などの数字は、フィルター単体の性能
- 「試験空間での結果」:脱臭や除菌などの効果は、小さな試験空間で確かめた結果で、実際の部屋での効果とは異なる
脱臭機能
試験機関が公開している説明によると、規格に定められた脱臭性能の試験は、1m³の密閉容器の中でたばこ5本を燃やし、アンモニア・アセトアルデヒド・酢酸という3つのにおい成分がどれだけ減るかを測るものです。
つまり、脱臭性能の数字はたばこのにおい成分を基準にした値です。また、各社のカタログには、たばこの有害物質(一酸化炭素など)は除去できないこと、建材やペットのように発生し続けるにおいはすべて除去できるわけではないことが注記されています。
ペットや料理のにおいが気になる場合は、脱臭フィルターを備えた機種が向いていますが、においの元を減らすことと換気を組み合わせるのが基本です。
空気清浄機では、換気の代わりにならない
空気清浄機が取り除くのは、主にほこりや花粉などの粒子と、一部のにおい成分です。人の呼吸で増える二酸化炭素は減らせません。締め切った部屋の空気のよどみは、換気でしか解決できない点は覚えておいてください。
加湿機能付き(加湿空気清浄機)
1台で加湿もできるので場所を取らない一方、次の点は知っておいてください。
- 加湿の能力は、単体の加湿器より控えめな機種が多い
- 加湿フィルターやトレイの手入れが、空気清浄機の手入れに加わる
- 加湿を使わない季節も、水回りを乾かして保管する必要がある
手入れを続けられるなら便利ですが、広い部屋でしっかり加湿したい場合は、空気清浄機と加湿器を別々に選ぶほうが、それぞれの能力を確保しやすくなります。
イオンなどの付加機能
イオンやプラズマなどを放出する機能を備えた機種もあります。これらの効果は、多くが試験空間での結果として示されています。空気中の粒子を取り除く中心的な役割は、あくまでファンとフィルターです。付加機能は「あればうれしい」程度に考え、まずは能力とフィルターで選んでください。
ステップ4:吸込口と吹出口の位置で、置き場所が決まる
空気清浄機は、部屋の空気を吸い込み、きれいにして吹き出すことを繰り返して効果を出します。吸込口と吹出口の位置は、機種によって前面・背面・側面・下部などさまざまです。

置き場所を決めるときは、次の点を確認してください。
- 取扱説明書に書かれた、壁や家具からの距離を守る
- 吸込口と吹出口の前に物を置かない
- 人が長く過ごす場所の近くに置く(寝室ならベッドのそば)
- 花粉は、窓や玄関など入ってくる場所の近くに置くのも効果的
- 部屋の空気が動いていると、汚れが本体に届きやすい
背面から吸い込む機種を壁にぴったりつけると、能力を十分に発揮できません。買う前に、置きたい場所に必要なスペースが取れるかを、取扱説明書の設置条件で確認しておくと失敗がありません。
ステップ5:フィルター交換と電気代を見る
「10年交換不要」の本当の意味
「フィルター10年交換不要」という表示をよく見かけます。これは、10年間ずっと新品と同じ性能という意味ではありません。

メーカーの説明によると、この期間は、規格の試験方法にもとづいて1日にたばこ5本分の汚れを吸い込んだ場合に、集じんや脱臭の能力が初期の50%になるまでの期間として計算されています。あるメーカーの例では、1日10本分なら約5年が目安とされています。
同じ試験方法でも、機種によって交換の目安が約2年のものもあります。「10年」は、能力が半分になるまでの、特定の条件での計算値と理解しておいてください。ペットや料理、花粉の多い家では、においや汚れによって早めの交換が必要になることもあります。
購入前に、交換用フィルターの価格と交換の目安を確認しておくと、長く使ったときの費用が見えてきます。

「10年」と聞くと、10年間ずっと新品並みだと思ってしまいますよね。

実際は「能力が半分になるまで」の目安。交換用フィルターの価格も、買う前にチェックしておきましょう。
電気代
日本電機工業会は、空気を清浄な状態に保つには24時間運転し続けることを勧めており、空気清浄運転なら1日中運転しても電気代は1日10円前後としています(使用条件によって変わります)。
電源を切ると、部屋の汚れはすぐに元に戻ります。自動運転を使い、つけっぱなしにするのが基本です。
目的別の選び方
花粉が気になる HEPAフィルターを備え、能力に余裕のある機種を選びます。花粉は床近くにたまりやすいので、置き場所は窓や玄関の近く、人が過ごす場所の近くが効果的です。
ペットと暮らしている 毛やほこりが多いので、プレフィルター(最初に大きなごみを取るフィルター)を掃除しやすい機種が便利です。においが気になる場合は脱臭フィルターを備えた機種を選び、換気と組み合わせてください。
寝室で使う 静音運転で使う時間が長いので、部屋の広さより一段上の能力を選ぶと、静かなまま十分な空気を送れます。運転ランプの明るさを調整できるかも確認してください。
たばこを吸う家族がいる 空気清浄機は、たばこの煙に含まれる一酸化炭素などの有害物質を取り除けません。空気清浄機に頼らず、換気を併用することが前提です。

挙げたのは全て新規格の結果が出ている空気清浄機です。
よくある質問
何畳用の空気清浄機を選べばいいですか?
新しい規格の製品なら、使う部屋の広さ以上の畳数を目安にし、花粉やペットが気になる場合は一段上を選んでください。CADRが書かれていれば、CADR ÷ 12 で新しい規格の適用床面積(m²)の目安がわかります。これまでの規格の畳数と、新しい規格の畳数を横に並べて比べないことが大切です。
空気清浄機はつけっぱなしでいいですか?
日本電機工業会は、24時間運転し続けることを勧めています。空気清浄運転なら、1日中運転しても電気代は1日10円前後です。
空気清浄機があれば換気はしなくていいですか?
いいえ。空気清浄機は、人の呼吸で増える二酸化炭素を減らせません。空気清浄機と換気は、役割の違うものとして併用してください。
フィルターは本当に10年交換しなくていいですか?
「10年」は、1日にたばこ5本分の汚れを吸い込んだ場合に、能力が初期の半分になるまでの期間として計算された目安です。使う環境によっては、早めの交換が必要になります。
まとめ
- 能力は、畳数ではなくCADRで比べる。新しい規格の適用床面積(m²)は CADR ÷ 12 が目安
- 「0.3µmを99.97%」はフィルター単体の性能。部屋全体の能力はCADRで見る
- 脱臭や除菌の数字は試験空間での結果。空気清浄機は換気の代わりにならない
- 吸込口と吹出口の位置を確認し、取扱説明書の設置距離を守る
- 「10年交換不要」は、能力が半分になるまでの、特定の条件での計算値
規格が変わったばかりの今は、カタログの数字の意味を知っているかどうかで、選び方の精度が大きく変わります。
出典
- 一般社団法人日本電機工業会「家庭用空気清浄機(JEM1467)」規格情報ページ https://www.jema-net.or.jp/engineering/JEM_JEM-TR/JEM1467.html
- 一般社団法人日本電機工業会「空気清浄機 性能認証制度」認証済製品一覧 https://www.jema-net.or.jp/living/airpurifiercertsystem/list.html
- 一般社団法人日本電機工業会「空気清浄機 Q&A(よくある質問)」 https://www.jema-net.or.jp/Japanese/ha/kuusei/qa.html
- 一般財団法人カケンテストセンター「空気清浄機の脱臭性(JEM1467 付属書B)」 https://www.kaken.or.jp/test/search/detail/166
- パナソニック「3つのフィルター」(HEPAフィルターのJIS Z 8122による定義)
- シャープ、日立、ダイキン 各社の交換用フィルターの説明(交換目安の算出条件)
※早見表と試算の数値は、上記の公開情報をもとに当サイトが計算したものです。




