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VOC(揮発性有機化合物)とは|家の発生源と、濃度を決める3つの要素

シックハウス症候群・VOC

新しい家具のにおい、塗りたての壁のにおい。私たちが「新しいもののにおい」と感じるものの中には、VOC(揮発性有機化合物)と呼ばれる化学物質が含まれていることがあります。

VOCは、建材や家具だけでなく、毎日使っている芳香剤や防虫剤、洗剤などからも出ています。この記事では、VOCとは何か、家のどこから出ているのか、そして室内の濃度がどう決まり、どうすれば減らせるのかを解説します。

結論:VOCは「発生量・換気・部屋の広さ」で濃度が決まる

  1. VOCは、常温で気体になりやすい有機化合物の総称:沸点によってVVOC・VOC・SVOCに分けられる
  2. 家の中の発生源は幅広い:建材や家具のほか、芳香剤、防虫剤、洗剤、化粧品、たばこ、燃焼暖房など
  3. 室内の濃度は3つの要素で決まる:発生量が多いほど、換気が少ないほど、部屋が狭いほど濃くなる

VOCは「新築の家だけの話」ではないんです。毎日使うものからも出ていて、減らし方には、はっきりした理屈があります。】

VOCとは

VOC(Volatile Organic Compounds)は、常温・常圧で空気中に揮発しやすい有機化合物の総称です。トルエンやキシレンなどが代表的な物質で、塗料や接着剤の溶剤、洗浄剤などとして広く使われています。

沸点で3つに分けられる

VOCは、気体になりやすさの目安である沸点によって分類されます。世界保健機関(WHO)の分類が、もっとも一般的に使われています。

分類沸点のおよその範囲物質の例
VVOC(高揮発性有機化合物)0℃未満〜50〜100℃ホルムアルデヒドなど
VOC(揮発性有機化合物)50〜100℃〜240〜260℃トルエン、キシレン、エチルベンゼンなど
SVOC(準揮発性有機化合物)240〜260℃〜380〜400℃フタル酸エステル類(プラスチックをやわらかくする可塑剤)など

沸点が低いものほど気体になりやすく、高いものほどゆっくり長く出続けます。SVOCは空気中だけでなく、室内のほこりにも付着します。ふだん「VOC」と呼ぶときは、これらをまとめて指していることが多いです。

家の中のVOCの発生源

VOCの発生源は、家の中のあちこちにあります。

建材・家具

  • 合板やフローリングの接着剤
  • 壁紙や塗料
  • 新しい家具、カーテン、じゅうたん

日用品

  • 芳香剤、消臭剤
  • 防虫剤
  • 洗剤、ワックス
  • 化粧品、スプレー類

暮らしの中

  • たばこ
  • 石油ストーブやファンヒーターなど、開放型の燃焼暖房
  • 油性マーカー、のり、接着剤

自治体のシックハウス対策の資料でも、家具やカーテン、じゅうたん、ワックス類、防虫剤、芳香剤、消臭剤、洗剤などの日用品にも化学物質を出すものがあるとして、注意を呼びかけています。

国が示す指針値

13物質の室内濃度指針値

厚生労働省は、室内の空気に含まれる化学物質のうち、13物質について室内濃度指針値を示しています。指針値は、その濃度の空気を一生涯吸い続けても、健康への有害な影響は受けないであろうと判断された値です。

物質指針値
ホルムアルデヒド100μg/m³(0.08ppm)
アセトアルデヒド48μg/m³(0.03ppm)
トルエン260μg/m³(0.07ppm)
キシレン200μg/m³(0.05ppm)
エチルベンゼン370μg/m³(0.085ppm)
スチレン220μg/m³(0.05ppm)
パラジクロロベンゼン240μg/m³(0.04ppm)
テトラデカン330μg/m³(0.04ppm)
クロルピリホス1μg/m³(小児の場合は0.1μg/m³)
フェノブカルブ33μg/m³
ダイアジノン0.29μg/m³
フタル酸ジ-n-ブチル17μg/m³
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル100μg/m³
総揮発性有機化合物(TVOC)400μg/m³(暫定目標値)

TVOCの暫定目標値は、個々の物質の指針値とは別に、室内のVOCを全体として見るための目安です。国内の住宅の調査結果から、合理的に達成できる範囲で決めた値で、毒性から決めたものではありません。含まれる物質のすべてに健康影響が心配されるわけでもないとされています。

2025年、エチルベンゼンの指針値が約10分の1に

2025年1月17日、厚生労働省はエチルベンゼンの室内濃度指針値を、3,800μg/m³から370μg/m³に改定しました。約10分の1の厳しい値です。

エチルベンゼンは、塗料や接着剤の溶剤などに含まれる物質です。最新の知見にもとづいて有害性を評価し直した結果、ラットの吸入試験で見られた聴覚への影響をもとに、新しい値が決められました。厚生労働省は、2026年3月末を目標に、新しい指針値に対応するための取り組みを進めるよう関係者に求めています。

指針値は、科学的な知見が積み重なるにつれて見直されていくものです。2019年にも、キシレンなど3物質の指針値が改定されています。

室内のVOC濃度は、3つの要素で決まる

VOCがほぼ一定の量で出続けるとき、室内の濃度は次の関係で決まります。

濃度 = 発生量 ÷(換気回数 × 部屋の容積)

  • 発生量:減らせば、そのぶん濃度が下がる
  • 換気回数:2倍にすれば、濃度は半分になる
  • 部屋の容積:狭い部屋ほど濃くなる

この関係から、たとえば同じ新しい家具を置く場合でも、換気回数が同じなら、12畳のリビングより6畳の寝室のほうが、濃度はおよそ2倍になることがわかります。新しい家具は、しばらくのあいだ広い部屋や換気の多い部屋に置いておくのも、一つの方法です。

また、化学物質は温度が高いほど出やすくなります。建築基準法のシックハウス対策も、化学物質の濃度が高くなりやすい夏を想定して考えられています。暑い日や、暖房で部屋を暖めているときは、とくに換気を意識することが大切です。

狭い寝室に、新しい家具。しかも冬は窓を閉め切って暖房……。濃度が上がりやすい条件がそろっていますね。

VOCを減らす方法

発生量を減らす

  • 芳香剤・消臭剤・防虫剤は使いすぎない:においを消すために、別の化学物質を足していることもある
  • 新しい家具や家電は、開封後しばらく換気を多めにする
  • 新築やリフォームのときは、建材の等級(F☆☆☆☆など)を目安に選び、入居前に十分換気する

換気を増やす

  • 24時間換気を止めない
  • こまめに窓を開ける:窓を開けるときは、反対側のドアも開けて空気の通り道をつくる
  • 暑い日や暖房中は、とくに換気を意識する

空気清浄機は補助として

脱臭フィルターを備えた空気清浄機で減らせる成分もありますが、VOCの濃度を下げる基本は、発生源を減らすことと換気です。

VOCを測るときの注意

家庭用のVOC測定器や、簡易的な検知管も市販されています。ただし、厚生労働省は、室内濃度指針値を満たしているかどうかを厳密に判定する場合には、国が示した標準的な測定方法で測る必要があるとしています。家庭用の測定器の値は、目安として考えてください。

住まいの空気について気になることがあれば、お住まいの地域の保健所に相談できます。

まずは発生源を減らして、換気を増やす。この2つで、濃度はちゃんと下げられますよ。

あなたの部屋の換気の状況を確かめる

部屋の広さや住まいの条件を入れると、換気の過不足の目安を計算できます。

おうちの空気診断

部屋の広さと住まいの条件から、必要な空気清浄機の能力(CADR)・換気の過不足・冬の加湿量を計算します。2026年改正の新規格と旧規格、どちらの表示にも対応。所要時間は約1分。

  • 1 部屋
  • 2 気になること
  • 3 換気と気候
部屋の広さ

空気清浄機を置く予定の部屋の広さを入力してください。

約13.0 m²

人数が多いほど二酸化炭素がたまりやすくなります。

よくある質問

VOCとホルムアルデヒドは違うものですか?

ホルムアルデヒドは、VOCの中でも特に気体になりやすいVVOC(高揮発性有機化合物)に分類される物質です。広い意味では、VOCの一つとして扱われることが多いです。

新しい家具のにおいは、どれくらいで消えますか?

製品や使われている材料、部屋の温度や換気の状況によって大きく変わるため、一概にはいえません。においが気になるうちは、換気を多めにしてください。

芳香剤や消臭剤もVOCを出しますか?

製品によっては出すものがあります。自治体の資料でも、芳香剤や消臭剤、防虫剤、洗剤などの日用品に化学物質を出すものがあるとして、注意を呼びかけています。使いすぎないことが基本です。

エチルベンゼンの指針値が変わったのはなぜですか?

厚生労働省が最新の知見にもとづいて有害性を評価し直した結果です。2025年1月に、3,800μg/m³から370μg/m³に改定されました。

まとめ

  • VOCは、常温で気体になりやすい有機化合物の総称。沸点でVVOC・VOC・SVOCに分けられる
  • 発生源は、建材や家具だけでなく、芳香剤、防虫剤、洗剤などの日用品や、たばこ、燃焼暖房など幅広い
  • 厚生労働省は13物質の指針値とTVOCの暫定目標値を示している。2025年にはエチルベンゼンの指針値が約10分の1に改定された
  • 室内の濃度は「発生量 ÷(換気回数 × 部屋の容積)」で決まる
  • 減らす基本は、発生源を減らすことと換気。家庭用の測定器の値は目安として使う

出典

※濃度と換気・部屋の広さの関係は、発生量が一定で、外気には含まれないと仮定した単純なモデルです。実際の濃度は、温度や湿度、建材の経過年数などによって変わります。

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